初めての取材を受ける時に社長が用意しておくべき8つの情報
初めてメディアの取材を受ける時、どのような準備をしておいたらいいと思いますか?
私はこれまでベンチャー企業の経営者の方、起業家の方を取材してきましたが、その後、成長している会社では代表者の方の取材の受け方が違いました。
何が違うのかというと、聞かれたことにその場で答えるのではなく、事前準備をしっかりされているのです。ライターはその情報を受け取って書くので、企業として発信したいことがきっちり盛り込まれます。
今回は、これから受ける取材をPRの機会としてしっかり活用したいと思われる方に、広報・ライターの視点から、準備しておくといい8つの情報をご紹介します。
Table of Contents
基礎データ4つ
資本金・売上・会員数など事業規模の分かる数字
数字として把握しておくのは第一歩です。
会員数など日々更新されていくものは最新の数字が分かっていると良いですね。
また、売上高など非公開としておきたい場合は、どこまでなら伝えられるか、予め線引きしておくと良いと思います。
状態が掴めればよいので、細かい数字は必要ありません。昨年対比などでも良いですし、たとえば、売上金額は出せないといった場合でも、設立年からの推移をグラフを示せば、成長していることは示せます。
社員数
代表の方が意外と把握していないことも多いのが、社員数です。
たとえば、インターンの方まで含めるのか、専属で関わってくれている外注のスタッフはどうなのか。そこに誰を含めるのかというのも企業としてのメッセージです。
もちろん、これも正確に何人とせず、20XX年X月時点で約何名といった形でも構いません。今、採用中で、来月から増えるなんていうこともあるでしょう。
調べるのに取材時間を使ってしまうのはもったいないので、どのように伝えるかも含めて、確認しておくことをおすすめします。
商品・サービスの正式表記
正式な表記が決まっていないことはあまりないと思いますが、ローマ字なのか、カタカナなのか、頭文字は大文字なのかなど、正しい表記は必ず確認されることの一つです。聞き取りにくい名前や覚えにくいスペルは、文字で見せられるようにしておくと間違いがありません。
変わった名前の場合には、由来などもよく話題にのぼります。
代表者名
登記上は別の方のお名前になっているなど、時々、代表者名をどうするか迷われるケースがあります。
肩書きと名前をどのように書いてもらうのが適当か、代表取締役:●●とするのか、主宰:●●とするのかなど、即答できない方はどういう表現がいいか考えておきましょう。
事業内容4つ
設立背景・事業に対する思い
どのような経緯で今の事業を起こしたのか、どういった思いで始めたのか、しっかり誰かに話したことはありますか?
あまり口にしたことがないと、どこから話し始めるか、どの話をするのかを考えることに時間がかかります。もちろん、どういう順番で話が出てきてもライターはきちんとまとめられますが、あまり話したことがない場合は一度、振り返る時間を作ってみるのもよいかもしれません。
今、多くの人は商品や企業の背景に、どんな人の存在があるのか、どんな思いがあるのかを知りたがっています。ここは代表者本人が自分の言葉で話すことが最も説得力が高いので、しっかり伝えてほしいと思います。
競合との違い・強み
社長ならば、経営していく上で、いつでも考えていることかもしれません。
これも伝え方次第で印象が変わります。宣伝ではありませんので、取材先の企業だけを褒め称えるような書き方はできません。他社の良さも伝えつつ、自社の強みをしっかりと強調していきましょう。
また、新しい分野を切り拓いている会社では、競合がいないという場合もありますが、ただ「競合はない」だけではライターの理解は深まりません。
たとえば、「海外には類似の企業はあるが日本にはない」、「こういったところまではやっている企業があるが、自社がやっているようなこういうところまではカバーしていない」といったように、比較できる業界のプレイヤーを紹介すると良いでしょう。
顧客の声
企業視点からだけでなく、顧客視点での評価も盛り込めると、よりアピール力が増します。必須ではありませんが、取材当日までに聞けるようでしたら、ぜひ把握しておいてほしい項目です。
オンライン完結の販売形態であったり、事業者の声は聞けてもエンドユーザーとの接点がなかったりして、直接、顧客の声を聞ける機会がない企業もあると思います。それでも、思い出してみてください。これまでに何か、良い評価をもらったような機会はなかったでしょうか。ちょっとした感想でも構いません。
今後の展望
これからの事業展開、今後の目標など、どこを目指していくのかは、原稿の落としどころにもつながりますので、聞かれないことはないと思います。「海外進出を目指している」、「10年後には市場シェア●%」「●●な人を20XX年までにゼロにする」など、具体的に伝えられるとよいですね。
その目標を実現するために、現在の取り組みがあるという風に理解できれば、取材者の理解だけでなく、読者の信頼や期待も高まるかと思います。
将来的にどのような状態になっていたいのかというビジョンは、取材がなくとも、社員一丸となって事業に望んでいくためには重要でしょう。広報担当者や事業担当者の方でも、聞かれたらすぐに答えられるよう、言語化したら、その内容が社員にも伝わるよう繰り返し伝えていってください。
準備が大変なら、この3つだけは押さえて
ここまでの8つを準備できていれば十分ですが、売上などは資料化できていれば尚よし。一度つくっておけば、後々また取材が入った時に使うこともできます。
ただ、日々膨大な業務をこなしている方にとっては、このような準備をする時間はなかなかとれないかもしれません。
そこで、最低限、取材前に押さえて欲しいポイントを3つ紹介します。
- 読者は誰か?
- どういうところに載せられるのか?
- 読者にどんな企業だと思われたいか?
目の前のライターと話をしていて盛り上がってくると、つい、この人が何のために話を聞いているのかを忘れがちです。が、大事なのはこの後、その話がどう活用されるか。
そのためにも、話をしている時に意識しておきたいのがこの3つなのです。
例えば、ママ向けアプリを販売している会社だった場合、テック系のメディアに出る場合、ママ向けメディアに出る場合、ビジネス系メディアに出る場合で、読者の知識も関心も異なります。
ユーザーであるママにはどう思われたいか、これから採用するかもしれないテック系人材にはどう思われたいか、パートナーや出資者になるかもしれないビジネスマンにはどう思われたいか、少しずつ見てほしい企業像が異なるはずです。
取材者にどういう企業として印象づけたいのかは、時間がなくてもぜひ考えておいてください。取材後の原稿の内容がきっと御社にとって良い方向に変わります。